

北海道医療新聞社 介護新聞より出典
高齢者総合ケアセンターこぶし園
園長 小山 剛
◇正しく理解、認識を
前回、どこで暮らしたいかの質問をしましたが、思いとは別にこれを支えるサービスがなければ実現しないことは言うまでもありません。しかし、地域で提供されている在宅サービスの多くは、家族介護の補填(ほてん)レベルですから支えることが困難でしょうし、たとえサービスがあったとしても回転寿司のような出来高負担では、使うことができなかったということを説明しました。
今回、ご紹介する小規模多機能型居宅介護は、これを打破するための新たな仕組みとして、介護保険法改正の地域密着型サービスの中に創設されました。
この新事業の目的は、連続したケアを「定額」で提供することに間違いありませんが、残念ながら現状は事業者・利用者とも正しく理解しているとは言い難い状況にあります。
その理由として、今までの在宅サービスが家族介護の補填レベルという状況から脱していないため、連続的な介護が必要になった時には在宅介護をあきらめていること、そして目の前に支えられるサービスがないことです。また、居宅介護支援事業所のケアマネの力量不足も大きな課題です。本来、利用者のニーズと課題に対して創造的に関わらなければならない役割が、目の前の事務処理に追われている、あるいはそれが役割だと勘違いしているということではないでしょうか。
さらに、在宅ケアプランと小規模多機能型居宅介護ケアプランが異なることに気付いていない点が挙げられます=図1=
図1
つまり、従来の在宅ケアプランは、要介護1であれば要介護1の介護給付に、要介護3であれば要介護3の介護給付にリンクしたプラン作成になりますが、小規模多機能型居宅介護はグループホームや施設と同様、個々の要介護度にはリンクせず、利用者の給付額をプールして、その時々のニーズに合わせて分配している仕組みですから、要介護度にリンクしたリターンが必ずしも同じではないということです。
しかし、グループホームや施設と同様に、連続した安心と必要時には必ずサービスを受けられる仕組みであることと、施設のような見知らぬ人との集団生活ではなく、個々が築いてきた地域社会・自宅において同じような介護を受けられる点が大きなメリットになるのです。
◇「在宅」にも「施設」と同様の補足給付が必要
介護保険法上の小規模多機能型居宅介護は、=図2=のように通い(上限15人)を中心として宿泊(上限9人)や訪問を組み合わせて使うことができるもので、登録の上限を25人とした定額制のサービスです。
図2
また、一昨年10月に前倒しで施行された居住費及び食費の自己負担という、介護保険の大転換によって生まれた介護保険の使途の限定(介護のみ)も大きな意味を持ちます。
つまり、住宅選択が利用者の自由=図3=になったことで、施設という住宅を選択しても自宅やアパートを選択しても、住宅にかかる負担は自己負担になる半面、介護給付は住まいにリンクしませんから、暮らし方に幅が出ることになります。
図3
しかし、現状では従来の介護保険施設という住宅だけに、居住費や食費の補足給付があること、定額制の介護費用が要介護度の軽い人も高いこと、そして看護費用も定額の中にあることなどがいわば既得権として残され、在宅と格差が生じていることは事実ですが、介護保険の仕組みが要介護状態の認定を原点としてサービス選択は利用者本位としている以上、利用場所によるサービスの格差は当然是正されるべきものだと思います。もちろん在宅を選択した場合にも施設と同様の補足給付が必要だということです。
いずれにしても、小規模多機能型居宅介護という「利用者自身の生活の継続性」を保障する「在宅定額給付」ができたことは画期的なことで、私たちサービス事業者やケアマネは仕組みをしっかり理解した上でこれを普及する責任がありますし、これからもその人の暮らしを支えるサービスの創造にチャレンジしていかなくてはなりません。